国立新美術館の
独立書展の会場に
手島右卿 語録がありました。
「書家は、自分の感情を吹き込んで生命化する。書を書く時の心の動きが線に託される。
鑑賞は、
線の中にあるリズム・アクセント・音楽性に通じる美を見る。
視覚にうつるものにとらわれず、心に響くものを味わう。
感動と真実の響きを感じるものがよい」と掲示されていました《略》
毎回 心して見ようとするのですが、、、、
今日も国立新美術館へ友人の出展を
鑑賞に来ました。
中原中也の詩です。
昭和の初めころの作品。
夏は青い空に、白い雲を浮ばせ、
わが嘆きをうたふ。
わが知らぬ、とほきとほきとほき深みにて
青空は、白い雲を呼ぶ。
わが嘆きわが悲しみよ、かうべを昂あよ。
――記憶も、去るにあらずや……
湧き起る歓喜のためには
人の情けも、小さきものとみゆるにあらずや
ああ、神様、これがすべてでございます、
尽すなく尽さるるなく、
心のままにうたへる心こそ
これがすべてでございます!
空のもと林の中に、たゆけくも仰あほざまに眼まなこをつむり、
白き雲、汝なが胸の上を流れもゆけば、
はてもなき平和の、汝がものとなるにあらずや
… … … … … … … …
中原中也のこの詩は、読めば読むほどに
考えさせられてしまいます。
そして書を書くにあたり、この詩を選ばれた
時の心境もいかばかりかと、、、
しかし、書の中から浮き出たイメージから
…心に浮かぶ事が大切だと⁉︎
長い人生の中でこのように言えるって
素晴らしい
、、、、なかなか言えるものではない
もしかすると いつも 辞世の書では
無いけれど気持ちは覚悟ができている
そんな風に思えた。
言えない、見えない、自分の心を「書・
線」で表現する芸術がここにあった。